CoE(センターオブエクセレンス)とは?その意味やITや人事分野における役割を解説

CoE(センターオブエクセレンス)とはなにか、どのような役割があるのかを知らない方も多いのではないでしょうか?
CoEとは、組織の中核となる部署や研究拠点です。優秀な人材や設備、ノウハウを1カ所に集約することで、組織の課題解決やガバナンス向上、イノベーションの推進がおこないやすくなります。
この記事では、CoEとはなにか、役割やメリットとともに解説します。

CoE(センターオブエクセレンス)とは

CoEとは、組織に点在する優秀な人材や設備、ノウハウを1カ所に集約した部署や研究拠点です。Center of Excellenceの頭文字を取ってCoE、あるいはセンターオブエクセレンスと呼ばれています。
CoEが初めて誕生したのは、1940年代から1950年代のアメリカ・スタンフォード大学です。卒業生の多くが東海岸へ流出し優秀な人材が西海岸に残らないことを嘆いたスタンフォード大学は、アメリカ全土から優秀な教授を集め、最新鋭の設備を導入した研究拠点を設置しました。これがCoEの始まりと考えられています。
結果としてスタンフォード大学の周辺にシリコンバレーが誕生したことから、ほかの大学でも CoEが推進されるようになったようです。

現在では大学だけでなく、さまざまな企業や組織でもCoEが取り入れられています。

文部科学省によるCoE

世界最高水準の研究拠点を形成し、研究水準の向上と創造的な人材育成を目的として、文部科学省は2002年度から21世紀CoEプログラムを開始しています。
21世紀CoEプログラムとは、文部科学省の研究拠点形成等補助金事業です。日本学術振興会に設置された21世紀CoEプログラム委員会での審査によって補助金交付先の審査・評価がなされ、採択された大学には補助金が交付されます。

現在ではこの21世紀COEプログラムの考え方を基本的に継承したグローバルCoEプログラムに変化し、補助金を増額する一方で競争的な制度となっています。

人事におけるCoE

人事におけるCoEとは、採用や給与体系の構築、人材開発などの分野の専門家を集めた組織です。
経営的な視点から人事機能の見直しや効率化をおこないます。

医療分野におけるCoE

医療分野におけるCoEとは、特定の分野に特化した診察や治療、研究をおこなう施設・部門です。
代表的なものとしてがんセンターやリンパ浮腫センター、産科麻酔施設などがあります。

IT分野におけるCoE

IT分野におけるCoEとは、効率的なシステムの導入や運用をおこなう組織・部門です。
IT分野においては複数のプロジェクトが同時に進行することが多く、部門間のコミュニケーションが不足したり、ノウハウが共有されなかったりすることが課題です。CoEがプロジェクトを横断することで、課題の解決や仕事の効率的な進め方を共有できます。 昨今、隆盛を極めるノーコード・ローコード開発を成功させるポイントとしてもCoE構築が注目を集めています。

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ビジネスにおけるCoEの役割

社内情報の集約

CoEの役割は、社内に点在する情報を集約することです。
企業では特定の部門だけが情報やノウハウを保有し、共有されていないことがあります。しかし、経営戦略を立案するためには、社内の情報やノウハウが集約されていることが重要です。
CoEが組織を横断することで、各部門が保有している情報を集約できます。

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経営戦略の企画立案

CoEには、経営戦略を企画・立案する役割があります。
CoEが担っている代表的な企画・立案は以下のとおりです。

  • 事業所の統廃合や分社化、子会社化などの組織変革
  • 販売網・営業力の強化
  • 取引先との関係強化
  • 新商品や新サービスの導入
  • 新たな技術や設備の導入

集約した情報からのフィードバック

集約した情報を各部門へフィードバックすることもCoEの役割です。標準化・横展開とも言われています。
特定の部門が挑戦的な取り組みをおこなったり、新システムを導入したりすることで、成果が上がるケースがあります。しかし、このような成功体験が他部門に共有されるとは限りません。CoEが情報を集約し各部門へフィードバックすることで、情報が共有されます。

CoEが各部門に対してノウハウを提供することで、内部的な動機付けを高め 、企業全体で業務を効率化できます。

組織の業務改善

組織全体の業務改善もCoEの役割です。
CoEが横断的に各部門の業務をチェックすることで、マニュアルに問題がないか、不要な業務をおこなっていないかといった課題を見つけ改善に繋げます。必要であれば、部門間の連携や業務プロセスのシステム化も担当します。

ガバナンスの向上

企業のガバナンス・管理統制を効かせることもCoEの役割です。
組織の戦略や方針、ルールに基づいて運用されているかをチェックし、是正につなげます。CoEは、従業員のITなど特定分野のリテラシーを高めることで、ガバナンスだけでなく組織全体の効率性を高めることにもつながります。

イノベーションの促進

社内イノベーションの促進もCoEの役割です。
専門性の高い部門の人材は、特定の分野についての深い知識がある一方で、決まったやり方にこだわったり新たなチャレンジができなかったりする場合があります。社員に幅広い知識や経験を身に付けさせるには、ジョブローテーションが効果的です。

CoEが部門を横断して人材を育成すれば、社内のイノベーションが促進されます。

CoEを導入するメリット

部門間の業務連携

CoEを導入するメリットは、部門間で業務を連携できるようになることです。
各部門でおこなっている業務を一元化できたり、部門間のコラボレーションによる新たな企画が立案できたりします。CoEが部門を横断することで部門間のコミュニケーションが活発になるため、スムーズな業務の連携が可能です。

情報の共有化

CoEを導入するメリットは、情報を共有化できることです。
すべての情報を部門間で共有しようとすると、効率が悪くなります。CoEが部門を横断して情報を収集し、必要な情報と不要な情報を整理することで、スムーズな情報共有ができます。

課題の早期解決

CoEを導入するメリットは、課題を早期解決できるようになることです。
特定の部門でトラブルが発生したときにほかの部門でも情報が共有されていれば、事前に対策をおこないトラブルを回避できるかもしれません。部門が所有する知識やノウハウだけでは解決に時間がかかる場合でも、CoEによって共有されたノウハウを活用することで、早期解決が可能です。

CoE導入時のポイント

理想の人材を定義する

CoEを導入する際におこなうことは、理想の人材を定義することです。定義された理想の人材は、CoEを含むすべての部門の人材となります。CoEと部門ではおこなうことが異なるため、それぞれで必要な人材は異なります。理想の人材を定義したら、現実との差異をチェックしましょう。

キャリアマップ・スキルマップの策定

理想の人材にとって必須のスキルとあった方が良いスキルを整理し、スキルマップを作成します。ポジション別・階層別にスキルマップを整理し、現状との差異を埋める教育方針を策定します。 特定のスキルを認定する認定制度などがあると、より明確になるでしょう。キャリアマップについては、定期的に見直す必要があります。

教育方針の立案・策定

理想の人材の定義化とキャリアマップ・スキルマップの策定が終わったら、教育方針を立案します。優先して習得すべきスキルを確認し、いつまでにどうやって習得するのかを策定しましょう。

「デジタルの民主化」におけるCoE

現場部門(非IT部門)が主体となった業務デジタル化の取り組み「デジタルの民主化」を実行するうえでも、CoEが非常に重要な役割を果たします。

デジタルの民主化とは?

デジタルの民主化とは、現場部門(非IT部門)が自らデジタルを活用し、全社のデジタル化を加速させることです。最も業務に精通する現場部門が、業務のデジタル化をすることで、いままでにないスピードで業務のデジタライゼーションを推進できます。

「デジタルの民主化」でCoEが必要な理由

ノーコード・ローコード開発などの最新のテクノロジーにより、業務デジタル化は現場部門(非IT部門)が主体で推進することができるようになりました。しかし、企業において各部門が好き勝手に業務デジタル化をすすめてしまうと、業務アプリの乱立による業務の分断、アクセスコントロールやデータ漏洩などのセキュリティ面など、さまざまな問題が発生する可能性があります。全社的な統制を効かせるうえで、デジタルの民主化においてもCoEの構築は欠かせません。

そして「デジタルの民主化」の推進には、だれでもかんたんにノーコード・ローコードであらゆる業務をプロセスごとデジタル化できる「SmartDB」がおすすめです。
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まとめ

 

CoEとは、組織に点在する優秀な人材や設備、ノウハウを1ヵ所に集約した部署や研究拠点です。大学に設置された研究機関がきっかけでCoEが誕生しましたが、現在では人事や医療、ITなどさまざまな分野の企業に設置されています。
CoEの役割は、社内情報の共有や企画立案、フィードバック、業務改善、イノベーションなどです。CoEの発足時は、活動をよりスムーズにおこなえる仕組みや、システムの整備から始めてみてはいかがでしょうか。

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マーケティンググループ ホシ

この記事の執筆者:ホシ (マーケティンググループ)

新卒でドリーム・アーツへ入社
お客さまのサービス利用立ち上げ支援をおこなう部門からマーケティング部へ異動。専門知識がない方にも分かりやすく、サクッと読み進められる記事を書いていく